薬局経営コンサルティング
全国平均が、要件実績を上回っている項目
・重複投薬・相互作用等防止加算等 ・ かかりつけ薬剤師指導料等
これらは、図1のように全国平均算定よりも求められている数値は低く、現場の意識次第でクリアできる可能性が高いと考えています。「重複投薬」は患者のアウトカムに直接つながりやすい項目ですので凡事徹底をすることでモレをなくしていきましょう。
全国平均が、要件実績を下回っている項目
・外来服薬支援料1 ・ 服用薬剤調整支援料 ・ 服薬情報等提供料(相当する業務含む)
これらは、全国的にあまり取組めていない項目です。要件は「1万回あたり1回以上」とされ、「最低1回でも・・・」というメッセージがありそうなものです。比較的実績のある薬局に取り組みを聴いてみると、「取り組みのアウトカムを必要とするだろう患者を想定」して、「声掛けや掲示等を地道に実施」されていれます。実績のない薬局の状況を伺うと、「対象の患者がいない」を理由に挙げ、ほとんど何もしていないというケースが散見されます。厚労省の発表によると、20年度のNBDデータでは「同月内処方薬種類数」が6種類以上の65歳以上の患者は32.18%とされています。実際の応需回数は店舗によると思いますが、本当に対象患者はおられないでしょうか?もう一度見直してみませんか?
服薬情報等提供料については、(患者アウトカムを生み出すための)医療機関等との連携についての第一歩の項目です。単体では全国平均を上回る実績が求められていますが、この項目はかかりつけ薬剤師指導料等の対象患者に相当する業務を行った場合の件数も含まれます。数字だけ見ると「かかりつけ患者」の10%について相当する業務を実施していれば要件の実績数を上回ることが可能です。患者アウトカムを生み出すために医療機関等と情報共有(この中には「ない」ことを報告することも含まれ得ます)がモレなくできているかを見直してみてください。
在宅関連の項目
・ 在宅の単一建物診療患者 ・地域の多職種と連携する会議への出席回数
これらについては、地道な活動が不可欠でしょう。在宅の「販路」としては図2のようなものが挙げられ、本部や現場が連携をしてこれらの取り組みをしていくことが重要です。会議への出席は、在宅患者へのアウトカムを高めるためにはサービス担当者会議への出席は貴重な機会と言えます。ケア・マネージャーとの関係性を構築し、年1回は個々の患者について会議参加することは重要ではないでしょうか?
これらの取り組みを「点数を取る」ことだけで取組むと本質から外れてしまいます。各調剤報酬点数にはそれぞれ期待される患者アウトカムがあるので、それを明確に意識して取り組むことが不可欠です。そのためには、①期待されるアウトカム(中間アウトカムも含めて)をニーズ(潜在含む)とする患者を想定し、②そのためのステップ(ペイシェント・ジャーニー)を明確にし、③マネジメントすることが求められます。
皆さんの組織ではいかがでしょうか?このような視点をもとに患者アウトカムを生み出す、地域支援体制加算の実績項目の取り組みができているかを振り返ってみてください。またこうしたマネジメントを進めるためには、店舗の管理者のマネジメントスキルを高めることが必須です。ネグジット総研では、マネジメント能力を強化する管理者研修を開催しています。ご関心のある方は、下記関連記事をご参照ください。
2023.08 株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 久保 隆