「やったものに報いる」ための賃金原資管理の考え方とは?

薬局経営コンサルティング

 今年も残すところ1ヵ月余りとなり、冬季賞与の支給に向けての取り組みが進んでいることかと存じます。こうした際に「やったものに報いたい ただし、原資に限りがあるので・・・」といった相談を経営者から受けることがよくあります。そこで、今回のテーマは賃金原資管理です。次の4点を押さえてみましょう!


  1. 「やったもの」を明確に・・・評価制度の整備で!
    まずこのことを考える上で、前提として「やったもの」を明確にすることが必要です。この際の「やったもの」とは「会社の経営理念や経営方針等の遂行」について「やった」ものであることを従業員に伝えることが求められます。この「やったもの」を整備し、明確にすることが評価制度策定のポイントの一つです。
  2. 賃金原資総額管理・・・自社の適正範囲を明確化
    「やったもの」に報いることは重要ですが、無尽蔵に報酬を渡すことはできません。企業の持続的な成長・発展のためには、的確な賃金原資総額管理が必要です。会社全体の粗利益等から見て人件費総額がどの程度の比率であれば適正か?それがどの程度の範囲であれば「平熱」といえるのか?こうした数値は業界・
    業種や会社の歴史によって違ってきますので、経時的に把握され、一定の範囲を超えていないか、あるいは必要以上に低くなっていないかを見ていく必要があります。
  3. 変動費賃金の活用
    前述のような準備をした上で、賃金原資を基本給や最低限の賞与は「固定費賃金」として予算化し、その他を「変動費賃金」の原資として別途管理することで、業績や評価結果に応じて柔軟に対応できるようにします。
    「やったもの」に報いる賃金制度を導入するにはこの部分をいかに確保するかにかかっています。環境変化の大きい時代において「やったもの」というのも、今年「やってくれた人材」が来年も「やってくれる」という保証はなく、一度上げればそれが既得権的になりやすい固定費賃金ではその変化に対応できないからです。
  4. 従業員の理解を促進するための透明性
    加えて、原資の配分や賃金制度について従業員に透明性を持たせることも重要です。賃金制度や原資の配分がどのように行われているかを明確に説明することで、「やったもの」を報いるための手順が理解しやすくなり、従業員の不満やモチベーション低下を防げます。
    従業員に見えやすくするためには、営業利益目標を超過した部分〇%を賞与の評価反映部分の原資として、それを評価結果にして、各従業員に分配するといったやり方を実施している会社もあります。

 効果的な賃金原資の管理は、経営課題の達成と従業員のモチベーション向上をサポートするために欠かせません。(※あくまでのこの点が目的であって差をつけることが目的ではないのでその点を忘れずに)そのためには、評価制度による「やったもの」の明確化、原資の総額管理、固定費と変動費のバランス、従業員への明示を実施することで、持続的に「やったものに報いる」賃金体系を運用していくことが重要なのです。
 みなさんの会社ではいかがでしょうか?このような視点での賃金原資管理の検討をしてみてください。

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2024.11 株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 久保 隆