調剤報酬改定2024解説
②連携強化加算
【2024年3月5日告示版・疑義解釈その1反映】

令和6年度診療報酬改定は、本年度より施行日が変更され、2024年6月1日に施行されます。

厚生労働省より個別点数の詳細な要件が発表されているものの、どこに情報が掲載されているかわからない方もいらっしゃるでしょう。

そこで、厚生労働省からの発表内容を踏まえて、特に連携強化加算の改定ポイントを解説します。

発表資料原文をご覧になりたい方は、以下の調剤関連まとめページをご確認ください。

また、次のYouTube動画でも、調剤報酬改定に関する内容を解説していますので合わせてご覧ください。

目次(こちらをクリックでメニュー開閉できます)

 ※その他項目は、準備が整い次第順次公開予定です。

連携強化加算の概要

「連携強化加算」は、コロナ禍真っ只中の2022年改定で災害・新興感染症の発生時の体制確保に対する評価として、新設された点数です。

コロナ禍が落ち着き、改正感染症法に基づく医療措置協定の仕組みが定められたことを踏まえ、本改定で見直されることとなりました。

主な変更点ポイントは次の通りです。

●点数増 2点→5点
●地域支援体制加算の届出は不要
●医療措置協定「第二種協定指定医療機関」の指定等 複数の基準が追加

基準自体は難化したものの、門戸が広がり点数増となったため、これまで以上に届出をしたい薬局が増えると予想されます。

2024年3月5日 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」より抜粋

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医療措置協定「第二種協定指定医療機関」とは

今回新たに追加された要件の1つに「第二種協定指定医療機関」の指定が定められています。

この「第二種協定指定医療機関」は、2024年4月1日より施行される改正感染症法に定められたものです。

新興感染症等が発生等の有事に早期に医療提供体制を構築するべく、平時から都道府県と医療機関の間で、役割や機能に応じて、対応することを定めた協定を予め締結しておく仕組みです。

あくまでも、新型コロナウイルス感染症と同程度の感染症を想定した協定で、特性が大きく異なる事態があれば、協定内容を見直す等、機動的な対応が想定されています。

2024年3月5日 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」より抜粋

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有事には主に自宅療養患者等への医薬品対応、平時からの備えも

有事の際、薬局で行うことは、自宅療養者、宿泊療養者、高齢者施設療養者等に対する医薬品対応とされています。

具体的には、
・電話、オンラインもしく訪問による服薬指導および薬剤交付
・健康観察
と、新型コロナウイルスまん延時に際と同様の対応です。

これら有事の対応の取り決めだけでなく、平時の備えも求めています。

具体的に、平時の備えとして、個人防護具の備蓄や、感染症対応に関する教育・訓練・点検を求めています。

尚、個人防護具がどれほど必要か等、どれほどの備えが必要かは都道府県によって判断が異なるようです。

2024年3月5日 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」より抜粋

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連携強化加算 施設基準詳細

次の表に連携強化加算の施設基準を取りまとめました。

細かな文言は要約していますので、詳細については原文をご確認ください。

連携強化加算 施設基準 ※一部要約
(1) 都道府県知事より第二種協定指定医療機関の指定を受けており、次に掲げる体制が整備
  ※【経過措置】令和6年3月31日に現に届出を行っている薬局は、令和6年12月31日までの間に限り該当
  ア 感染症に係る最新の知識習得目的の研修実施または外部参加(年1回以上
  イ 新型インフルエンザ等感染症等の医療提供訓練・外部訓練参加(年1回以上
  ウ 自宅療養者等に対する調剤、オンライン又は訪問服薬指導、薬剤交付体制
  エ 個人防護具を備蓄
  オ 要指導医薬品・一般用医薬品、検査キット、マスク等の衛生材料提供体制(感染症発生がないときから)
(2) 災害の発生時等において他の保険薬局等(同一薬局グループ以外の薬局を含む。)との連携に係る体制
  ア 自治体要請に応じ、避難所等への医薬品供給・調剤室の設置・人員派遣体制
  イ 災害の被災状況に応じた対応習得研修実施、地域の協議会研修・訓練計画(年1回程度参加が望ましい
  ウ 災害発生時の夜間・休日等の開局時間外 調剤・在宅対応体制
(3)災害や新興感染症発生時の体制ウェブサイトで広く周知
 (保険薬局および同一グループの他、地域の行政機関、薬剤師会のウェブサイト)
(4)災害や新興感染症発生時の体制・対応 手順書作成、職員への共有
(5)情報通信機器を用いた服薬指導の体制
  ア 実施要領に基づいた、通信環境の確保
  イ 実施要領に基づいた、オンライン服薬指導 必要な知識習得 研修実施(回数記載無し
  ウ サイバー攻撃に対する対策含めセキュリティ全般についての適切な対応
(6)要指導医薬品及び一般用医薬品の販売(48薬効群を参考 様々な種類の医薬品及び検査キット)
2024年3月5日 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)」を元に作成

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注意したいポイント

①「第二種協定指定医療機関」の定めは、都道府県の指定基準と異なるケースも

前述した「第二種協定指定医療機関」の指定については、(1)に定められています。

基準記載には、協定指定を受けるのみではなく、ア~オの要件が盛り込まれている点に注意してください。

例えば、感染症対策の研修・訓練の実施回数(ア・イ)や、検査キットの提供体制(オ)等は、都道府県によって定めていないケースがあり、協定指定を受けていても、基準が満たされないこともあります。

尚、この(1)には経過措置が設けられており、適応する場合は届出のタイミングが通常と異なります。

経過措置適応時は、届出のタイミングは「令和6年12月中(翌月 最初の開庁日令和7年1月6日まで)」となりますので注意ください。

経過措置等の届出に関する考え方は、次の記事にて解説していますので、ご参考ください。

(参考記事)
調剤報酬改定2024 ①調剤基本料本体・地域支援体制加算【2024年3月5日告示版】施設基準届出の実績判定期間、届出時期および算定期間

② 研修項目多数、感染症研修・訓練は年1回以上必須

研修に関する定めは、全部で3つ、感染症対応・災害対応・オンライン服薬指導に関する研修が定められています。

それぞれ求められる研修の実施頻度が異なっており、感染症対応は「年1回以上(中略)実施すること」、災害対応は「年1回程度参加することが望ましい」と表記されています。

一方で、オンライン服薬指導は実施頻度の記載はございません。

資料内で参照している「オンライン服薬指導の実施要領」には、オンライン服薬指導に特有の知識等を習得させるため、厚生労働省HP内のe-learning等が活用しながら研修材料を充実することを求めています。

③ 医療用抗原検査キットの薬局提供廃止

2024年4月1日付の事務連絡により、0410事務連絡などのコロナ特例措置を廃止されることになりました。

伴って、時限的な措置として認められていた薬局による医療用抗原検査キットの販売が一部を除いて廃止となります。

連携強化加算の施設基準(1)(6)に、「検査キット」の記載がございますが、
本事務連絡を踏まえた対応については明確にされていません。

関連する事務連絡は、次のリンク先に取りまとめていますのでご参考ください。

【地域支援体制加算、連携強化加算及び在宅薬学総合体制加算】

問2 (情報周知に関する要件について)

地域支援体制加算、連携強化加算及び在宅薬学総合体制加算の施設基準において、
地域の行政機関又は薬剤師会等を通じて各加算の要件に示す情報を周知することとされているが、
どのように周知すればよいのか。

(答)各加算の施設基準において求められる機能等について、地域の住民や行政機関、
保険医療機関、訪問看護ステーション及び福祉関係者等が当該情報を把握しやすいよう、
市町村や地区の単位で整理し、周知することが求められるため、保険薬局においては、
当該薬局の所在地の地域でこれらの対応を実施することになる行政機関又は薬剤師会等と相談されたい。
また、このような情報は定期的に更新されている必要があり
さらに、都道府県単位で集約して周知されていることがより望ましい。
各加算に関して周知すべき情報としては、各加算の要件に基づき、例えば以下のようなものが考えられるが、
これらに限らず地域にとって必要な情報を収集及び整理すること。

(中略)

○連携強化加算

(当該加算で求めている周知すべき情報)
災害や新興感染症における対応可能な体制に係る情報

(具体的な項目例)
・ 改正感染症法に基づく第二種協定指定医療機関としての指定に係る情報
・ オンライン服薬指導の対応の可否
・ 要指導医薬品・一般用医薬品の取扱いに係る情報
・ 検査キット(体外診断用医薬品)の取扱いに係る情報

(中略)

なお、既にこのような情報を地域で整理し、ホームページで公表しているものの、
各加算で周知が求められる項目の一部が対応していない場合には、
当面の間は、対応できていない情報を追加的にまとめた一覧を公表するなどの対応

情報を補完することでも差し支えない。

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