モチベーション・アップのための4つの視点とは?~タスクアセスメント・モデル~

 経営者・経営幹部の方と話をしている際によく出てくる質問の一つに、「モチベーションアップをどう図るか?」「働きがい・やりがいをどう高めるのか?」があります。 今回は、その「モチベーションアップ」について取り上げます。

「モチベーション・アップ」というと古くは「動機づけ要因・衛生要因」、近年では「外発的動機付け・内発的動機付」といった考え方があります。それらに加えておきたいのが、「U理論」を日本に紹介したオーセンティックワークス株式会社の中土井僚氏が紹介をしているトーマス&ベルトハウスがエンパワメントに関する論文の中で提唱した「タスク・アセスメント」という概念です。この論文では仕事のモチベーションに影響を与える要素として4つの認知が示しています。  


「タスク・アセスメント」は、働きがいというものを人が感じる場合、与えられた仕事の内容そのものよりも、本人がそれをどのように認知しているか
ということが重要だという考え方を前提としており、働きがいに影響を与える認知を次の4つで整理しています。


①自己効力感

取り組む課題について「自分でできる」と感じることです。自己効力感が低いとなかなか取り組もうという気持ちになり得ません。

②影響感

それを取り組んだ結果得られる報酬が、何か意味のあるものであるかどうかという概念です。
具体的に客観的な効果や見返りをイメージできるかどうかです。

③有意味感

取り組んだ結果得られる報酬や結果が、その人にとって意味があることかどうかです。
有意味感は影響感と似た概念ですが、影響感というものが、合理的・客観的な概念だとすると、
有意味感というのは主観的な概念です。

④自己決定感

自分でどれだけ決めることができるかです。
自己の裁量権が大きいほうがモチベーションは上がるのです。



4つのタスク・アセスメントは強弱の差こそあれ、各自に全ての要素があるものでしょう。しかしながら、ある課題を取り組む際になかなかやる気の出ない部下がいるのであれば、この4つのタスク・アセスメントの何が特に欠けているのかを考えることは重要です。それによって、部下への働きかけが変わってくるからです。

・自己効力感の低い部下には、小さな成功体験の創出
・影響感の低い部下には、期待される客観的な成果の確認

・有意味感の低い部下にその人の価値観あったその課題に取り組む意味を共有
・自己決定感にジレンマを感じる場合は、権限の委譲ができるかどうかの提示


といったことを考えていくことが重要となってきます。


みなさんの組織ではいかがでしょうか?部下のモチベーション・アップを検討する際にぜひ項のような視点も参考にしてみてください。


2023.12 株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 久保 隆

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