診療報酬改定 施行時期が6月に変更へ
~クローズアップ調剤行政【2023年9月配信版】~

はじめに

ご覧いただき誠にありがとうございます。

薬局経営コンサルタントの津留です。

さて、ただ今ご覧いただいている本コンテンツは、

「クローズアップ調剤行政」

と題した、シリーズコンテンツです。

調剤に関連する行政動向の中で、特に注目度の高いテーマを毎月ピックアップ解説致しております。

具体的には、

  • 厚生労働省・内閣府・財務省を中心とした行政より発表される会議資料
  • 通知、事務連絡等の資料 等

を取り上げています。

記事更新は主に月初めで、前月の発表資料を中心にご紹介いたしますので、毎月継続的にご覧いただければ、調剤に関する行政動向を把握するに役立ちます。

ぜひ継続してご覧いただければ幸いです。

尚、各種記事に関するご質問等、個別のご相談は薬局経営者研究会の会員企業様に限り無料で承っております。

興味がある方はぜひご入会を検討ください。


2023年8月実施の会議・通知情報

クローズアップ調剤行政【2023年9月配信版】では、2023年8月の気になる行政動向を紹介します。

8月に実施された主な会議・発出された通知等の情報は次の通りです。


2023年8月の気になる行政動向

7月より中央社会保険医療協議会(以下、中医協)の総会にて、
令和6年度診療報酬改定に向けての議論が進んでいます。

8月も引き続き中医協総会では、個別の改定論点についての議論がございました。

また、改定の基本方針についての議論が、社会保障審議会にて新しくスタートしています。

この基本方針は報酬改定に大きく影響する内容で非常に気になる視点ではあるものの、
現在は議論がスタートして間も無い状況です。

直近の会議では前回改定の振り返りが中心で、
特に新しい情報がないため今月は取り上げず、引き続き中医協総会での改定議論に絞って取り上げます。

特に気になった点を挙げるとすれば、

「医療DXについて(その2)」

の内容です。

タイトルにもある通り、8月2日の中医協総会にて、診療報酬改定の施行時期を6月に見直す方針が了解されています。

今回の記事では、その内容に触れている
「医療DX(その2)」をピックアップ解説いたします。

尚、本解説の注意点ですが、事実情報を中心にご紹介していますが、
筆者個人の見解も盛り込まれています。

見解部分については、正確な情報を保障するものではございません。

また、見解はあくまでも私見であり、
組織を代表した共通見解ではないことをご理解ください。


詳細については、ご自身で原文をご覧いただくことをお勧めいたします。

以下の関連情報リンクよりご覧いただけますのでご活用ください。

<関連情報リンク>

2023年08月02日 医療DXについて(その2)他|中央社会保険医療協議会 総会(第551回)

診療報酬改定の施行時期が6月に変更へ

診療報酬改定 施行時期は6月1日、薬価改定は変わらず4月1日へ

まず最初に中医協総会で示された内容および経過の概要をお伝えします。

● 中医協総会にて厚生労働省における診療報酬改定施行時期の変更案が示される

● 具体的には、次のスケジュール案を提案

  - 診療報酬改定は、2ヶ月後ろ倒しの6月1日改定
  - 薬価改定は、4月1日改定で変更なし

● 上記提案内容を受けて、実施時期については了解された

もしかすると、初めて聞いて驚いたという方もいらっしゃるかもしれませんが、
この議論は急に出てきた話ではございません。

では、どのような経緯で議論が進められたのでしょうか。

中医協 総会(第551回)「総-3 医療DXについて (その2 )(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001129862.pdf)」より抜粋・加工

診療報酬改定の時期変更議論の経緯は?

改定時期変更の議論は、
遡ること昨年の骨太方針2022の中に「診療報酬改定DX」の内容が盛り込まれてから、
具体的な検討が進められてきました。

以下は骨太方針2022における記載部分の抜粋です。

(社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進)

「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化等」及び「診療報酬改定DX」の取組を行政と関係業界が一丸となって進めるとともに、医療情報の利活用について法制上の措置等を講ずる。そのため、政府に総理を本部長とし関係閣僚により構成される「医療DX推進本部(仮称)」を設置する。

経済財政運営と改革の基本方針2022 本文(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2022/2022_basicpolicies_ja.pdf)より抜粋

本方針を踏まえて、
「診療報酬改定DX」含めた医療DXをスピード感を持って推進するために、
総理自らが本部長とした「医療DX推進本部」が立ち上げられ、
本年6月2日には「医療DXの推進に関する工程表」を決定・公表されています。

ちなみに、この工程表には次の内容が盛り込まれています。

  • 基本的な考え方
  • マイナンバーカードの健康保険証の一体化の加速等
  • 全国医療情報プラットフォームの構築
  • 電子カルテ情報の標準化等
  • 診療報酬改定
  • 医療DXの実施主体

※原文をご覧になりたい方は、以下よりご覧ください。

医療DXの推進に関する工程表|第2回医療DX推進本部(2023年06月02日)
https://mc.nextit.co.jp/revision-of-fees/247773/

診療報酬改定の施行時期については、次の通り言及されています。

「診療報酬改定の施行時期の後ろ倒しに関して、
実施年度及び施行時期について、中央社会保険医療協議会の議論を踏まえて検討する。」

上記の議論については、既に4月26日の中医協総会で一度議論されており、
今回の8月2日中医協にて再度議題が挙げられ、最終的に了承されたというのが現在の状況です。

中医協 総会(第551回)「総-3 医療DXについて (その2 )(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001129862.pdf)」より抜粋・加工
中医協 総会(第551回)「総-3 医療DXについて (その2 )(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001129862.pdf)」より抜粋・加工

時期変更の意図は、ベンダ・医療機関等の業務負荷軽減

この時期変更の意図は、あくまでもベンダ・医療機関等の業務負担軽減が目的とされています。

これまでベンダでは、
改定施行日の4月1日には患者の窓口負担金計算が正しく計算されるように、
発表された改定内容に応じて急ピッチでプログラム改修作業を行ってきました。

また、4月1日までに無事改修作業が終えたとしても、4月以降に疑義解釈が数度にわたり発表され、
都度対応が求められる状況にありました。

これらはベンダ側の負担が非常に大きいのはもちろんですが、
医療機関・薬局においてもバージョンアップや教育等を短期間で行う必要があり非常に大きな業務負荷となっています。

皆様の現場においても、改定年の3月頃には各種勉強会で情報収集したり、
バージョンアップや不具合の対応など、通常業務以上に業務が発生していると思います。

そういった状況を改善するために提案されたのが
「診療報酬改定2ヶ月後ろ倒し案」です。

この案について、診療側からは現場が混乱しないよう丁寧な説明や配慮を求める声等があったものの、
最終的には中医協で了解されています。

一方で、薬価改定は

・薬価調査等へのスケジュールの影響への懸念
・薬価のシステム改修は、4月施行でも十分対応が可能であるという意見

を踏まえて、4月1日薬価改定はそのまま維持という方向性が示され了解されました。

中医協 総会(第551回)「総-3 医療DXについて (その2 )(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001129862.pdf)」より抜粋・加工

ベンダ毎から「共通算定モジュール」で標準化・共通化へ

「診療報酬改定DX」の取組みの中で、診療報酬改定の施行時期変更の議論が進んでいますが、
この診療報酬改定の施行時期変更で終わりではありません。

2026年度には「共通算定モジュール」の本格提供・運用が計画されています。

これまでベンダ毎にバラバラに開発していた電子計算プログラムを、
国で統一することにより、そもそも重複していた開発作業を無くしてしまおうという動きです。

中医協 総会(第551回)「総-3 医療DXについて (その2 )(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001129862.pdf)」より抜粋・加工

ベンダの負荷軽減効果は、医療機関側に還元へ?!

共通算定モジュールの開発・運用は、ベンダだけ負担が軽減される効果だけではございません。

医療機関・薬局における費用負担面の軽減も期待されています。

そもそも、ベンダ側は負荷のかかる改定関連の保守運用経費等を踏まえて
システムの本体価格や保守費用の設定をしているかと思います。

共通算定モジュール等にて負担軽減されるのであれば、
その分をユーザーに還元するべきであるという理屈です。

実際のところ、ベンダ側の負担の多くは人件費で固定化されているものですから、
すぐに還元する対応は難しいと筆者は予想します。


少なからず還元がされるようにベンダ側には何かしらの形で圧力がかけられるのは間違いないでしょう。

全く医療機関・薬局に関係がない話ではないので、動向は注視しておくことをお勧めいたします。

第3回「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム 「【資料2】診療報酬改定DX対応方針(案)(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001091070.pdf)」より抜粋

終わりに

今月の記事では、中医協で発表された資料「医療DXについて(その2)」の中で、
特に押さえていただきたいポイントをピックアップしました。

筆者の個人的な感想ではありますが、
診療報酬改定のスケジュールがまさか変わるなんて、
昨年の段階では全く予想だにしていなかったので、最初聞いた時は非常に驚きの内容でした。


改定関係の情報発信をしている筆者の立ち場では、
余裕を持って情報発信できるのは非常にありがたいと感じるものの、
より一層充実した情報発信が必要であると身が引き締まる思いです。

また、新しい情報が出てきましたら、続報で情報提供いたします。

今月の「クローズアップ調剤行政」は以上です。

次号もお楽しみにお待ちください。

(作成:株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 津留隆幸)

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