ビジネスモデルを共有しよう!~新しいビジネスモデルを推進するために~

ビジネスモデルは、「商品やサービスなどの付加価値の提供と、それによって得られる収益の獲得の仕組み」(野村総合研究所:用語解説より)と定義付けられています。従来の保険薬局の「処方箋応需サービス業」というビジネスモデルでは、その成功要因を「分業してくれる医療機関の発掘」、「場所の確保」、「薬剤師の確保」と変遷させてきましたが、これらには限界にきているのです。従来プロフィット・ポイント(利益の創出場所)だった店舗が、ロス・ポイント(赤字の創出場所)に陥るという現象が多くみられるようになっています。その典型がアインHDの動向で、2020年度4月期において44店舗減(出店20店舗・撤退64店舗)、2021年度4月期で23店舗減(出店29店舗、撤退52店舗)と店舗の選別が進められ、スクラップ&ビルドの様相となっています。

こうした中、ビジネスモデルの転換が求められており、その例の一つが「健康寿命延伸支援サービス業」への転換です。既にその方向に舵を切っていると標榜する保険薬局も少なからずみられますが、どこまでこのことを全体的かつ具体的に取り組めているかが求められます。そのためには、コンセプトを経営者だけでなく経営幹部やスタッフと共有することが、不可欠でそのためのルールがビジネスモデル・キャンバスです。(下図参照)


このツールは、まず重点「①顧客セグメント」を明確にし、その顧客に提供する「②価値提案」を具体化します。「②価値提案」は顧客のニーズ、メリット、アウトカムといった言葉とほぼ同義で、このビジネスモデルを通じて得られる「嬉しいこと(Pleasure)」あるいは減らすことのできる「痛み(Pain)」を検討します。この例は、私どもが顧客先で検討する際のたたき台的に使っているもので、厚労省の資料等からその文言を抽出しています。

この「②価値提案」を実現するための顧客との接点・関係性、得られる収益を上半分の③~⑤に記載し、下半分の⑥~⑨はそれを実現するための提供者側の活動や資源およびそれにかかるコストを記述するのです。こうすることにより、対象ビジネスモデルの全体像の理解の促進、損益のバランス、差別化要因をどこに組み込むのか、等を検討し、その推進のためのポイントを抽出していきます。
自社のビジネスモデルの浸透のために、その可視化、共有化を推奨してみてください。

2021.06 株式会社ネグジット総研経営コンサルタント 久保 隆

概要・配布ファイル

ユーザー用ファイル
  • ファイル無し
薬局経営者研究会会員用ファイル
  • ファイル無し

関連記事

関連記事はありません