大手調剤チェーンの重点課題
~ICT・DX推進で差別化・効率化を!~

5月に入り、3月末決算の上場大手調剤チェーンの決算発表が続きました。今回はそれらを中心にアインホールディングス(以下アインHD)、日本調剤、クオールホールディングス(以下クオールHD)、メディカルシステムネットワーク(以下メディシス)の重点課題についてみてまいります。※アインHDは4月末決算のため、2月に発表された2022年4月期第3四半期の決算資料を参照。

大手調剤4チェーンがほぼ共通して取り組んでいる重点課題は次の3点といえます。
第一に、M&Aを含めた店舗拡大です。特にアインHDは、2020年度及び2021年度4月期は2年連続店舗数減少となっていましたが、2022年度は第3四半期終了時点で30店舗以上の純増となり、拡大基調に転換となりました。日調は純増27店舗、クオールHD純増23店舗、メディシス純増9店舗と着実に店舗拡大を進めています。

二つ目に、表現の仕方は各社によって違いますが、地域連携薬局・専門医療機関連携薬局の認定取得や在宅医療強化など「かかりつけ薬剤師・薬局機能の強化」の取組です。地域連携薬局でみると、アインHDとクオールHDは、100店舗以上の認定、日調で60店舗以上、メディシスで40店舗以上の認定を取得しています。また、日調およびクオールHDは特に在宅の強化を課題に挙げており、在宅医療を専門的に取り組む店舗として「在宅支援センター」(日調)「在宅医療専門調剤薬局」(クオールHD)として展開を図っています。

最後に、ICT・DX等の活用により上記課題の推進や業務の効率化・新規事業の模索です。オンライン服薬指導の取り組みは各社もちろんのこと、アインHDやクオールHDは、ドローンによる医薬品配送の実証実験に取り組み、日調はオンライン薬局サービスや医薬品情報プラットフォーム「FINDAT」のサービスを開始しています。また、患者との接点強化のインフラとして、日調は登録会員100万人突破を超えた「お薬手帳プラス」、クオールは、LINEによる「クオールおくすり便」、メディシスは子会社ファーマシフトの運用する「つながる薬局」を推進しています。

その他事業については、アインHDはコスメ&ドラッグストア事業、日調は医薬品製造販売事業および医療従事者派遣・紹介事業、クオールHDは医療関連事業、メディシスは賃貸・設備関連事業および給食事業および訪問看護事業です。その収益状況は新型コロナの影響等により赤字化している部門もあり、明暗が分かれています。ただし、メディシスだけは他社と違い、第一の事業を「地域ネットワーク事業」とし、この中に自社の店舗での保険事業だけでなく、他の保険薬局に対するサービスも含めて、「地域薬局を支援」することを最大の事業と位置づけ、特色を出しています。

こうして見ると、大手調剤チェーンとしては、従来から取り組んでいる店舗拡大での収益拡大をベースに、ICT・DX推進でその差別化・効率化を企図していると言えるでしょう。

2022.06 株式会社ネグジット総研経営コンサルタント 久保 隆

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