薬局経営コンサルティング
早いもので2024年も10月となり、2025年まで残り2ヵ月余りとなりました。2025年は厚労省が『患者のための薬局ビジョン』(2015年発表)で提唱していた
「すべての薬局を『かかりつけ薬局』へ」を実現する節目の年です。
『患者のための薬局ビジョン』の中では「患者本位の医薬分業で実現できること」を次のように示しています。
●服用歴や現在服用中の全ての薬剤に関する情報等を一元的・継続的に把握し、次のような処方内容のチェックを受けられる
☑複数診療科を受診した場合でも、多剤・重複投薬等や相互作用が防止される
☑薬の副作用や期待される効果の継続的な確認を受けられる
●在宅で療養する患者も、行き届いた薬学的管理が受けられる
●過去の服薬情報等が分かる薬剤師が相談に乗ってくれる。また、薬について不安なことが出てきた場合には、いつでも電話等で相談できる。
かかりつけ薬剤師からの丁寧な説明により、薬への理解が深まり、飲み忘れ、飲み残しが防止される。
これにより、残薬が解消される など(※太字ネグジット総研加筆)
また、平成30年度調剤報酬改定説明会資料では、「厚労省の目指すかかりつけ薬剤師・薬局」を提示し、その結果られるものとして
●薬物療法の安全性(変わりないか?大丈夫か?)
●薬物療法の有効性(効いているか?飲めているか?)
●医療費の適正化(持続性)※()内はネグジット総研追加
と明示しています。
みなさんの薬局ではいかがでしょうか?こうした内容での「患者本位の薬局」が実現できているでしょうか?
これらは当たり前のことのように思われるかもしれませんが、「掛け声」だけに終わっていることはないでしょうか?筆者も一定の年齢となり、処方箋を持って薬局に行く機会も多くなり、あちこちの薬局で服薬指導を受けているのですが、患者目線で見るとこうしたことを実施していると伝えられている薬局は多くありません。
・点数算定や薬歴を埋めることが目的になったヒアリングになっていないか?
・目の前の今回処方された薬だけに目がいっていないか?
・待たせないことを意識しすぎて、訊くこと伝えることを遠慮していないか?
等々の疑問を感じました。この背景は、患者の価値観の多様化や求められる業務の変化、複雑化するシステム等に追いつていないことはあるかもしれません。ただ、そうしたことを理由にこのことに正面から取り組めていない薬局も少なくないのです。
こうした際には原点に戻ることが重要です。患者のアウトカム・中間アウトカムを実現するためにはどうしていくことがいいのかといった視点で業務を見直すことが求められています。
・それぞれの患者のアウトカム・中間アウトカムを意識して働きかける
・そのことを患者と共有する
・あわせて、薬局で行っている価値を患者にも理解してもらう
・そうした取り組みを仕組み化する
ことを図ってください。
そして、自信をもって「その薬を飲んでもらって大丈夫です。」「もし飲みにくい、飲めないことなど気になることがあったら連絡ください。」といった安全性・有効性・持続性を伝えることを実施してみてください。
このような取り組みを深めるために、弊社では
2025年(「患者のための薬局ビジョン」節目の年)を控えて ~真に「患者のための薬局」になるために~
というテーマで、
「第12回 保険薬局経営 しゃべり場」 を約3年ぶりに開催いたします。
弊社経営コンサルタントによる経営環境確認に加え、保険薬局経営者連合会会長 山村真一氏 に問題提起
を頂戴したうえで、参加者によるディスカッションを行います。
より多くの皆様のご参加をお待ち申し上げます。
詳細は下記リンクをご参照ください。
2024.10 株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 久保 隆