外来患者数減少時代!!~患者・顧客・地域に選ばれるための仕組みづくり=マーケティング が不可欠に!~

 第8次医療計画の議論の中で紹介された厚生労働省の資料では、「既に2020年までに214の医療圏(全国の二次医療圏は344)では外来患者数のピークを迎えていると見込まれる」と伝えています。首都圏や名古屋・大阪・福岡周辺といった大都市圏等を除いた全国の約3分の2の地域で外来患者数は既にピークを迎えており、今後減少する一方というのです。「在宅患者数は、多くの地域で今後増加し、2040年以降203の二次医療圏において在宅患者数のピークを迎えることが見込まれる」ともしていますが、外来患者が主体となる保険薬局経営にとっては「何もしなければ来局患者数が減少」することとなり、「患者・顧客・地域に選ばれる」工夫を行うことが求められています。

 この「患者・顧客・地域に選ばれる」工夫を進める上で不可欠なのがマーケティングの視点です。マーケティングを端的に説明すると「売れる仕組みづくり」といわれており、医療機関や薬局では「売れる=患者・顧客・地域に選ばれる」ですので、「患者・顧客・地域に選ばれる仕組みづくり」と考えられます。この「売れる仕組みづくり」の構造の例を表したものが図1です。


 患者・顧客・地域に選ばれるには、それらの「アウトカム(価値提案)を見える化(相手に理解される)して提供」することがまず必要です。その過程でコミュニケーション量を増加させ、他科処方箋等を増やすなどで「処方箋の拡大」につなげ、「収益増」を図ります。その結果、新たな「投資」が可能となり更に「アウトカム」を生み出していきます(第一好循環)。それが定着していくことで「中間アウトカムの見える化」を進め、それが患者との「信頼強化・ブランドづくり」に繋がるように働きかけ、そのことで地域の中で選ばれる構造を強化していくのです(第二好循環)。

 また、地域の患者数減少社会において事業規模を維持・拡大していくためにはそれだけでは十分でありません。患者・顧客の「組織化等(ストック化)」を進めることでリピート率を上げ地域のシェアアップを図ることや「保険外商品」の売上拡大による単価アップにつなげていくことができなければ、縮小に向かっていくことも避けられません。(図2)


 これらの構造を強化していく際にいわゆる「マーケティングの4P」(重点ターゲットを明確にした上で、Produt:商品戦略・Price:価格戦略・Place:販路戦略・Promotion:販促戦略)によってその活動を具現化してくことが求められるのです。このためにICT活用やDX推進がカギとなります。

 みなさんの会社・店舗では「マーケティング=患者・顧客・地域に選ばれる仕組みづくり」についてどのように取り組んでおられるでしょうか?

ぜひマーケティングの視点をもった活動に取り組んでみてください。


2023.07 株式会社ネグジット総研経営コンサルタント 久保 隆


弊社では、保険薬局でのマーケティングについて、保険サービス、保険外サービスの視点に分けて研究をしていく「実践マーケティング研究会」を企画しました。多くの皆さんのご参加をお待ちしています。

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