新年度に入り1ヵ月ほどが経過し、夏季賞与評価の準備に入られている会社が多いかと存じます。経営環境変化が激しくなる中、「人事評価制度の改善」についての私どもへの相談も多くなってきました。そこで今回は、評価制度の評価基準設定のポイントについて取り上げます。
人事評価制度の策定支援をする際に、リクエストの多いのが「評価シートの策定・改定」です。通常、階層・職種別に評価項目・評価基準・ウェートを要素として策定することが多いのですが、その際に特に問題となるのが評価基準の設定です。評価基準に対する従業員の不満は多く、「わかりにくい」、「あいまい」、「上司によって判断が違ってくる」といった声が耳にされます。しかし、こうした声に対応しようとして評価基準を精緻にしていくと、「そこに書いてあることをクリアすればOKなのですね」とばかりに、近視眼的となり、本来の狙いからはずれてしまいかねません。抽象的すぎると「あいまいで評価にバラつきが生じる」、精緻にすると「抜け・モレの発生」、「近視眼・機械的になる」といった副作用を発現させる恐れがあるのです。
評価基準設定のポイントは?
こうした状況から脱却するために、経営課題推進のための行動変容の創出に評価を役立てるには、評価基準をどう設定すべきか?
というように、評価の目的・原点に戻って考えることをお勧めしています。その評価の視点としては「意識」、「行動」、「結果」があり、この3つを基準、「モノサシ」として活用するのです。我々が求めていることは「課題推進のための行動変容による結果」であり、それに向けた「行動」がなされているか、その行動実施のための「意識」合わせができているかが問われてくるからです。
まずは、「行動」がなされているか、を観ていきます。「行動」がなされているのならば、次にその「結果」が得られているか、そして「結果」が得られているのならその継続のためにどうしていくか?と働きかけていきます。もし、「結果」が得られていないのなら「行動」が適切でない可能性が高いので、その見直しに向けて働きかけることが必要です。
また、「行動」がなされていないのなら、「やり方」がわからないのか、それともその必要性の「意識」合わせができていないのかを観ていきます。「やり方」がわからないのならその具体策を、「意識」合わせができていないのならその再確認を進めていくのです。
この流れを評価基準の考え方に当てはめたのが図です。
上記のような働きかけをすることで該当する評価項目の評価に落とし込むことができます。評価と(1次評価)は、このように日常的な部下への働きかけを踏まえて、一定の時点でその棚卸をすることなのです。
みなさんの組織では、どのような評価基準を設定されているでしょうか?ぜひ、行動変容を促すことに役立つ評価基準になっているか検証をしてみてください。
2023.05 株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 久保 隆
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使える人事評価制度のポイントとは? – ネグジット総研 |経営コンサルティング (nextit.co.jp)