「様子見」の時期は終わった?!
  ・・・オンライン服薬指導は新しい局面に!

最近テレビでは「お薬のお届けサービス」、「オンライン服薬指導」等のCMをよく目にするようになっています。
オンライン服薬指導の普及パターンは、制度として解禁になったのでシステム提供会社が医療機関や薬局に案内するという形式で広がり始めました。
そこに新型コロナ拡大に伴う「非接触のニーズ」が生まれ(ただし、こちらは電話対応が優勢)、処方箋送信システムや服薬フォローアップのシステムと合わせて展開されてきました。
そこに最近の動きとして、顧客の「医療機関・薬局に行かなくてもお薬が欲しい」というニーズに対応する一気通貫型のサービスが登場したのです。

その中の一つのSOKUYAKUは、2月6日の四半期決算説明の質疑応答の場で「医療機関2872、薬局5019、会員数83万948人(22年11月末現在)」まで伸びてきていると発表しており、一定の存在感を示すようになってきたことを伝えています。

オンライン服薬指導の現状データとしては、デロイトトーマツ社が昨年12月にオンライン診療の調査と合わせて発表をしています。(https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20221216.html


そこでは、オンライン服薬指導の利用経験者は6.3%に過ぎず「サービスの普及が進んだとは言い難い」とまとめられていました。
しかし、その同じ調査の中で「使ってみたいきっかけ」は「医師・看護師が推奨するのであれば」が27.6%(回答者中)
と最上位の回答となりながら、「実際に勧められた経験がある」の回答は2%に過ぎませんでした。

一方、「使ったきっかけ」は「インターネットやテレビで見て、興味があったから」が30.5%(利用経験者中)と最上位の理由となっています。
医師・看護師といった専門職の影響度合いは大きいながらも、実際に勧められる機会は影響度合いに比べると少なく、実際の利用は外部からの情報で広がりつつあるようです。

薬局の状況については弊社にて調査をしてみました。回答母数は32と少ないのであくまでも一部の傾向として捉えるべきものですが、その中ではオンライン服薬指導の取り組みはチェーンによって二極化しつつあることが見受けられます。

一部を紹介すると、「導入している」との回答者(58.3%)の実施状況は
「全店で全く経験がない」38.9% となった一方、
「定期的に実施する店舗が全店中半数程度ある」5.6%
「ほとんどの店舗で定期的に実施している」11.1%
と「定期的に全店中半数程度」以上実施しているチェーンが一定数みられる結果となりました。

この数字をどう捉えるかは意見の分かれるところかもしれませんが、筆者には「意識的に普及に取り組み一定の成果を挙げている薬局は想定より多いな」と感じられました。まだ「導入していない」の回答者(43.8%)の理由の最上位は「様子を見ているため」が78.6%と断トツだったのですが、どうも様子見をしてはいられない状況になりつつあるようです。

前述のデロイトトーマツ社の調査と合わせてみると、インターネットやテレビでの露出が増える中で、イノベーター(革新者層:約2.5%)だけが利用する段階からアーリーアダプター(初期採用層:13.5%)の利用が広がる局面に入っています。アーリーマジョリティ(前期追随層:約34%)へ普及していくのも時間の問題と言えるでしょう。「ほとんどの店舗で定期的に実施している」層のチェーンでは、それを見越して患者のニーズを見極めながら、「声掛け」を徹底して実施されているようです。

「様子見」でいられる状況ではなくなりつつあります。少なくともテスト的に導入する店舗を設定し、そこでは「声かけ」等もしっかり実施し、臨界点に近づく動きを感じた際にはヨコ展開ができるような準備をしておくことは必須ではないでしょうか。

2022.12 株式会社ネグジット総研経営コンサルタント 久保 隆                 

 

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