厳しい環境下でさらなる成長を実現するために
MIT組織学習センターの共同創立者であるダニエル・キムは、組織が持続的に成果を上げるためには、自組織の中に存在する「好循環(重要成功ループ)」を見出すことが重要であると提起しています。そして、その好循環を単に認識するにとどまらず、いかに意図的かつ効果的に回し続けるか(構造化)が、組織の持続的成長をする保障するものと指摘しています。
この視点は、薬局業界のこれまでの発展を振り返るうえでも非常に示唆的です。従来、薬局は質の高いサービス(※分業初期は立地の優位性)を起点として、患者・顧客満足を高め、その結果として患者数や処方箋枚数の増加につなげてきました。さらに、それが売上・収益の拡大をもたらし、その収益を設備投資や人材育成へと再投資することで、サービスの質を一層高めていく――この一連の流れが、薬局業界における典型的な好循環として機能し、成長を支えてきたと言えます。
しかしながら現在、この好循環には明確な変化が生じています。ドラッグストア等の競合の参入により利便性や価格面での競争が激化していることに加え、行政から求められる役割や機能の高度化、医薬分業のメリットの患者への伝達不足により、従来と同じ取り組みだけでは循環がスムーズに回らなくなっています。言い換えれば、これまで自然に回っていた成長のメカニズムに対して、外部環境が大きなブレーキをかけている状況にあると言えるでしょう。

このような環境下でさらなる成長を実現するためには、まずこのブレーキの正体を見極め、その解除に向けた具体的な対応を講じることが必要です。同時に、従来の延長線上にない新たな好循環を見出し、再設計していく視点も欠かせません。特に重要なのは、患者・顧客にとって明確に価値として認識されるメリットを創出することです。たとえば、ドラッグストアが提供している「待ち時間の有効活用」や「ポイント付与」といった分かりやすい利便性に対抗するためには、薬局ならではの専門性や安心感、継続的な関わりによる健康支援といった価値を、具体的かつ実感を伴う形で伝えていく必要があります。
単にサービスの質を高めるだけでなく、それが患者にどのような意味やメリットをもたらすのかを明確にし、選ばれる理由として可視化&共有化していくこと――それこそが、新たな好循環を生み出し、これからの薬局経営を支えるカギになるのではないでしょうか。
こうした構造を店舗で実現するためには、管理者が「店舗の経営者」としてマネジメントの本質を理解していることが不可欠です。
一般社団法人薬局経営者研究会では、対話を議論の使い分けを進めるためのポイントを習得する場として
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2026.03 株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 久保 隆
