部下へのフィードバックの押さえどころ5のポイント
スタッフの育成は、経営者や管理職にとって最重要課題のひとつです。今回は、部下の成長を支える「日常的フィードバック」のポイントを紹介します。
フィードバックとは、「他人の目を通した成長のための鏡」(立教大学 中原淳教授)です。相手の行動が「他者からどう見えているのか」を伝えることで、その人自身の気づき・改善・成長につなげることができます。
このようなフィードバックを日常的に積み重ねることは、部下の持続的な成長にとって非常に効果的です。その実践に役立つ5つのポイントをご紹介します。
① 具体的に、行動にフォーカスする
抽象的な評価ではなく、「何を・どうしたか」という行動レベルで伝えることが大切です。
「今日、○○さんが患者さんの懸念にすぐ反応してくれたの、的確でした。」
「あの質問の仕方、すごくよかったよ。」
② ポジティブを惜しまず、ネガティブは未来志向で
小さな良い点も見逃さずに積極的に伝え、改善点については**責めるのではなく「これからどうするか」**に焦点を当てましょう。
(ポジティブ)「この資料、前よりすごく見やすくなったね。グラフの使い方が伝わりやすかった。」
(ネガティブ→未来志向)「報告が少し遅れてしまったね。次回は○○のタイミングで一度知らせてもらえると助かるな。」
③ タイミングは「すぐに・短く・日常的に」
フィードバックは後回しにせず、雑談や帰り際、チャットなどを使って自然に・短く伝えるのが理想です。
「さっきのミーティング、うまく進行してたね。みんなの意見が出やすくなっていたと思うよ。」
④ 意図や背景・感情に耳を傾ける
行動の裏には理由や感情があるかもしれません。決めつけず、「どうしてそうしたのか?」を丁寧に聞く姿勢が対話と信頼を生みます。
「今日は発言を控えていたけど、何か気になることがあった?」
→ 聞いた上で、「そういう時はこういうやり方もあるかもしれないね」と一緒に考える。
⑤ フィードバック後の確認を忘れず
フィードバックは**「伝えて終わり」ではなく「伝えて、受け取ってもらい、行動につながる」**までがセットです。
「さっきの話、どう感じた?」
→ 数日後や翌週などに「この前の件、うまくいった?」と軽くフォローアップする。

フィードバックは、「あなたに関心を持っています」というメッセージにもなります。それは信頼関係を深め、チームづくりの土台となる大切な働きかけです。
忙しい毎日かもしれませんが、1日10分でも構いません。ぜひ意識して時間をつくってみてください。
皆さんの組織でも、このような視点から部下やスタッフへの働きかけを実践されることをおすすめします。
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2025.06 株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 久保 隆