去る10月15日に「保険薬局で働く管理栄養士オンライン・ミーティング」をオンラインで開催しました。事前に各社の取り組みをまとめて参加するという事前課題のあるイベントにもかかわらず、約30社50名ほどの参加があり、少なくない薬局が関心を持っていることが分かります。
当日の進行は①弊社からの問題提起、②2社の事例発表、③グループに分かれての情報交換、④その結果を全体で共有する という形式で実施しました。
弊社からの問題提起では、図1のように保険薬局の管理栄養士のサービスを、
タテ軸:管理栄養士の提供サービスが直接収益につながるかどうかで「直接収益」「間接収益」
ヨコ軸:提供サービスを「保険・制度事業」か「保険外・制度外事業」
で区分をして提示。2社の事例発表では、秋田のサノ・ファーマシー様より特定保健指導の取り組み、千葉の毎日薬局様より栄養ケアステーションの取り組みを紹介していただきました。その後の9グループでの参加各社の取り組み紹介の情報交換も大変盛り上がり、「少人数グループで参加者も発表することにより、より多くの薬局の取り組みが知れてよかった」や「もっとグループ検討の時間があれば・・・」という声も多く出され、大変盛況のうちに会は終了しました。参加者の発言や実施後のアンケートなどから、参加企業から出てきた課題としては次の点が挙げられます。
直接収益に繋がるサービスをどう強化するか?
この課題が一番多く見受けられました。事例として取り上げられた特定保健指導を初め、多くの薬局で「直接収益」をどう創り出すかが管理栄養士サービスの課題になっているようです。既に「直接収益」を獲得されている薬局でも更なる拡大を意図されているようで、営業活動に関する質問も多く出されていました。
専任・兼任をどう考えていくのか?
上記「直接収益」拡大の課題の推進にも関わることですが、体制として専任で進めるのか、受付事務との兼任で人数を増やしていくのか、といったことも課題として挙げられていました。まずは兼任体制をとることが多いようですが、収益化を強化する上では専任を配置することも選択肢になるようです。
栄養相談スキル・医療機関での栄養指導のスキルを支援するサービスの提供等を進めていますが、多くの参加者がそれらに興味を示されていました。
サービス拡大・向上のためにも研修制度をどう整備していくのか?
また、サービスを拡大する上で研修制度の整備も求められています。特定保健指導や行政からの委託業務を進める上で質の高いサービスを提供することは不可欠です。今回のイベントの中では糖尿病療養指導士への育成についても関心がありました。薬局での栄養相談スキル・医療機関での栄養指導のスキルを支援するサービスの提供についても多くの参加者が興味を示していました。
保険薬局での管理栄養士の提供サービスの活用はまだまだ発展途上ではありますが、「食」をキーワードに、「患者・顧客のアウトカムを高め」、「顧客との関係性強化」を進め、結果として「収益拡大」につなげ、それを更なる「サービス強化・持続性」につなげる といった可能性は大いにあるといえるでしょう。(図2)管理栄養士の活用を強みとして顧客囲い込みの構造を創り出せるかは、自店を地域でなくてはならない存在にする重要ポイントの一つです。弊社でもその支援を引き続き進めていければと考えています。
2022.12 株式会社ネグジット総研経営コンサルタント 久保 隆