「対話」と「議論」の使い分けの重要性
2月13日、中央社会保険医療協議会(中医協)より令和8年度診療報酬改定の答申が示され、改定はいよいよ大詰めを迎えました。今回の改定は、保険薬局にとって構造的な影響を及ぼす内容といえます。集中率の見直しによる基本料の削減、地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算の統合、調剤管理料の段階的な引き下げ、さらにはかかりつけ薬剤師の位置づけの大幅な見直しなど、経営と現場運営の双方に直結する論点が並んでいます。
とりわけ注目すべきは、「すべての処方箋に影響する」基礎的な点数が厳格化される一方で、加算は患者に対する具体的な対応やアウトカムの創出があってこそ評価される仕組みへとシフトしている点です。言い換えれば、従来の延長線上にある運営だけでは十分とはいえず、取り組みの質と実効性によって、店舗間の収支差が大きく開く改定となっています。
こうした環境下では、改定の趣旨を現場で正しく理解し、業務の優先順位や進め方を見直すことが不可欠です。日々の業務に追われる中であっても、効率化を進めると同時に、求められる機能や役割へと舵を切っていく必要があります。そのためには、現場の知恵を引き出しながら、納得感を醸成し、実行度を量的にも質的にも高めていくプロセスが重要になります。
ここで鍵となるのが、「対話」と「議論」の使い分けです。現場の知恵を結集し、より良い方策を導くためには、意見を交わし磨き合う「議論」が欠かせません。しかし、十分な議論を成立させる前提として、関係の質を整えることが求められます。その土台づくりに有効なのが「対話」です。
対話とは、いきなり結論や是非を競う場ではありません。互いの主張の背景にある経験や価値観、問題意識や感情を共有し、「何を大切にしたいのか」という根本の思いを確認し合う営みです。このプロセスを経ることで、視座がそろい、心理的安全性が高まり、その後の議論が建設的なものへと変わります。
その上で初めて、具体策をめぐる「議論」に進みます。テーマを明確にし、選択肢を比較検討し、実行可能な施策を意思決定していく。対話で土台を整え、議論で方向性を定める――この順序が、変化の時期にはとりわけ重要です。

皆さんのチームでも、いきなり対策の決定に走るのではなく、重要度の高いテーマほど、まずは「対話」によって意識を合わせ、そのうえで「議論」に臨んでみてください。変化を乗り越える力は、制度そのもの以上に、チームの対話力と議論力にかかっています。
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2026.02 株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 久保 隆
