「アウトプット」「アウトカム」レベルで目標設定することの重要性
組織において「目標による管理」を推進するためには、適切な目標設定が不可欠です。その際に特に留意すべき点として、目標を「アクション目標」ではなく「アウトプット目標」や「アウトカム目標」で設定することが挙げられます。これは、行動そのものを目標にしてしまうと、本来達成したかった成果や価値につながりにくくなるためです。
アクション目標は「何をするか」を明確にする点では有効ですが、多くの場合、行動の実施が目的化しやすい傾向があります。たとえば「研修を開催する」「訪問件数を増やす」といった目標は達成しやすい一方で、行動の量が成果の質に直結するとは限りません。行動をこなしても、顧客価値や業務改善につながらなければ、課題解決に寄与しないことがあります。
一方で、アウトプット目標は「行動によって生み出される成果物」、アウトカム目標は「その成果物がもたらす効果や変化」に焦点を当てるため、成果に直結する形で目標を設定できます。行動の量ではなく、質や価値を評価できる点が大きな特徴です。
保険薬局における「患者の栄養相談活動の推進」を例にすると、アクション目標は「栄養相談会を実施(月○回開催)」といった内容になります。しかし、この段階では「相談会という行動が行われた」ことしか測れず、患者支援につながったかどうかは分かりません。
これをアウトプット目標に置き換えると、「栄養相談会の参加者数を○○人」といった、行動の結果として生まれる具体的成果を評価することができます。相談会の開催回数だけでなく、どれだけの患者に価値を届けられたかを把握できるため、活動の質に目が向きやすくなります。
さらにアウトカム目標では、「栄養相談をきっかけに食生活の改善が確認できた患者数○○人」といった、最終的に実現したい変化を設定できます。ここまで落とし込むことで、相談会の開催や参加人数が「患者の健康改善」という本来の目的にどれだけ寄与しているかを明確に把握できるようになります。

このように、目標をアウトプットやアウトカムのレベルで設定することは、組織が「何を達成したいのか」という本質に焦点を合わせ、成果のある取り組みを促進するために重要です。行動そのものではなく、行動によって生まれる価値を基準に目標を設定することで、より効果的に課題を推進できます。
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2025.11 株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 久保 隆
