「患者本位の医薬分業」を実現するかかりつけ薬局へ・・・患者目線で服薬指導の傾向を考える

薬局経営コンサルティング

 筆者は今年2月に手術を受けたこともあり、11月末現在で本年25回ほど患者として処方箋を持って、いろいろな薬局で患者として服薬指導を受けました。そこで、筆者は薬剤師ではないのですが、一患者として個人的意見として、その傾向を分類してみたので、紹介をさせていただきます。
 

今回の処方薬の説明のみ伝えたケース
このケースは、薬剤師が今回された処方薬のみの説明をするというケースです。このパターンは作業志向や待ち時間短縮に意識が強くなっているように見受けられました。

②お薬手帳を見て、現在服用薬を確認するが、それで終わったケース
これは、お薬手帳を見て現在使用の薬剤の確認はしてくれるのですが、そこで終わってしまうパターンです。「何のために確認をしたの?」と素朴に疑問を感じました。(薬歴に書くため?)ヒアリングを形式的に行っているのではないかという懸念が感じられます。

③感情の反映による寄り添いが見られたケース
このケースでは、お薬手帳を見て「どうされたのですか?」と確認をし、「実は2月に手術しまして・・・」等を話すとそこに共感的な態度で対応する姿勢が見られました。こうした働きかけは、患者との信頼関係を築き、患者の治療意欲や服薬行動にポジティブな影響を与える可能性があります。

④確認をしっかり行い、安心感を与える一言を伝えたケース
このケースは、お薬手帳等を確認し、現在使用している薬剤等を確認した上で、「ということでしたら、この薬を飲んでもらっても大丈夫です」と伝えきったパターンです。安心感を与え、ヒアリングしてきた理由もしっかり伝わり、専門家として信頼感を高める対応でした。
  

もちろん、患者のタイプによって求めるニーズは違ってくるかもしれませんが、①②のケースの服薬指導が常態化しているようでは、薬剤師による服薬指導である必要はなく、非薬剤師やAIででも対応ができるのではないでしょうか?

 

こうしたことから脱却し、③④もしくはそれ以上の服薬指導を進めるためには

●作業志向ではなくアウトカム志向へ
 アウトカムをはじめとした仕事の目的を踏まえた業務になっているか

●待ち時間最優先のメンタル・モデルの克服
 待ち時間より優先すべきことがあり、それを伝えられるような業務になっているか

専門家としての信頼関係づくり
 信頼関係を作る上で、人間性と専門性の両方から働きかけられているか

●上記における医薬分業のメリットの見える化・わかる化   

が必要になってくると考えます。

 
 みなさんの薬局ではいかがでしょうか?このような視点での「患者本位の医薬分業」を実現する「かかりつけ薬局」を目指すことを検討してみてください。


2024.12 株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 久保 隆

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