行政動向を制する者は「調剤」を制す!①一次情報と二次情報

行政動向の情報収集はなぜ必要か?

保険薬局は、言わずもがな保険制度による薬局であるため、行政動向次第で収益の増減が大きく変化するのは間違い無い事実です。保険薬局経営においては、タイムリーな行政動向の情報収集が必要不可欠と言えます。

情報収集において、

  • いかに正確な情報を得るか
  • いかにスピーディーに情報を得るか
  • 得た情報を元に、適切な経営判断をするか

が重要です。

本記事では、行政情報収集をいかに行うか、参考になる視点をお伝えします。

行政情報の一次情報と二次情報を区別しよう!

一次情報と二次情報のメリット・デメリット

情報収集にあたって、一次情報と二次情報を明確に区別して収集していますか?両者どちらが良い悪いという話ではなく、それぞれの特徴があることはしっかりと押さえましょう。そもそも一次情報・二次情報は次のような違いがあります。

  • 一次情報・・・オリジナルの情報 例)中央社会保険医療協議会で発表された資料 等
  • 二次情報・・・一次情報を受けて解説・補足する情報 例)新聞記事、ニュースメディア、SNSコメント 等

一次情報のメリット・デメリット

 一次情報の最大のメリットは、「正確性が高い」ということです。情報発信元そのままの文章や言葉であれば、その情報が確実に事実と言えるでしょう。一方で、デメリットとして「収集、解釈の負担大」という問題があります。

昨今行政でもHP上で情報発信をするようになってきているので、比較的一次情報を収集しやすくなったとはいえど、すべて公開されていないものもあります。また、資料記載以外の発言は、会議に参加していなければ拾えない情報です。

そのため、一次情報の収集は比較的困難と言えます。また、行政文章独特の言い回しで解釈のしづらさも少なからずあるという問題があります。

二次情報のメリット・デメリット

 二次情報の最大のメリットは、「(情報の)収集、解釈が容易」であることです。情報収集~解釈をある程度既にされていると情報の受け手側の負担は軽減されます。

しかし、デメリットとして「情報の信頼性」が挙げられます。主な二次情報発信元である新聞・メディア等は、情報収集する者に変わって、スピーディーに・正確に・わかりやすく整理して伝達することをサービスとしています。

特に有料で提供されているサービスは、それなりに情報のチェック体制はあるでしょうし、正確性は担保されるかもしれません。しかし、一部のネット記事やSNSでの情報等は、必ずしも発信されている情報が正しいとは言えません。情報の受け手側のリテラシーが求められます。

一次情報と二次情報の使い分け

一次情報・二次情報それぞれのメリット・デメリットがあり、時間は有限ですから、すべての一次情報を収集することは現実的に不可能に近いです。情報の受け手が両者を上手く使い分けることが重要です。そのためにも、次の視点が情報の受け手側に求められます。

  • 二次情報の信頼できる発信元を押さえる
  • 必要に応じて一次情報を直接収集する

行政情報のステータスを把握しよう!

ステータスの種類

すべての行政発表の情報をすべてに対してじっくりと考え対応策を練ることはできるでしょうか?現実的には叶わないでしょう。受け手側が、数多の情報の中で、必要な情報・そうでない情報を受け手側で取捨選択していかなければなりません。情報の取捨選択に役立つのが、「情報のステータス」です。

その情報は「事実」?「意見」?

突然ですがクイズです。次の文章はある薬局経営者の発言です。この情報は「事実」でしょうか?それとも「意見」でしょうか?

しっかり運営していない薬局のせいで、薬局への風当たりが年々厳しくなってきている。

答えは、「意見」といって差し支えないでしょう。「事実」と「意見」を、わかりやすく分類すると次のように区別されます。

  • 「事実」は、本当にあったことや、誰でも確かめられること。
  • 「意見」は、その情報発信者が考えたこと。

「しっかり運営されていない」「風当たりが年々厳しくなってきている」は、人によっては捉え方が異なることもあり、あくまでも発言者の主観によるものです。そのため、先ほどの例は「意見」と言えます。

実は「事実」と「意見」は明確なようで、明確でない情報が多数ございます。情報の受け手側が意識的に「事実」なのか「意見」なのかを捉えなければ、誤った経営判断をしてしまう可能性がございますので注意が必要です。

事実には、「決定事項」と「未決定事項」がある

 事実の中でも、「決定事項」と「未決定事項」があります。「決定事項」については、言わずもがな情報を受けて、早期判断・対処が必要になるでしょう。一方で、対応に悩むのが「未決定事項」です。未決定事項が今後どういった着地点になるのか、という予測判断が求められます。

 例えば、『あるセミナーで薬剤管理官が「薬局のポリファーマシー対策を評価していきたい」という発言があった』という事実があったと仮定します。そのセミナーを受けて、ニュース記事の見出しに「薬局のポリファーマシー対策 薬剤管理官 評価方針を示す」といったタイトル記事が出ることはよくあります。この記事を見て、重要な「決定事項」として捉えてしまうと誤った経営判断をする可能性がでてきます。

 もちろん、薬剤管理官は報酬改定の意志決定プロセスの中で重要な役割を担います。そのため、薬剤管理官の発言内容は、重要な「事実」に受け止められやすい情報です。しかし、例に挙げた発言はあくまでも非公式の場における発言です。中医協等の厚労省としての意見を述べる公式な場でなければ、重要度は下がります。たとえ、公式な場での発言であったとしても、最終的に答申の段階で「ポリファーマシー対策への評価」の項目が盛り込まれるまでは、あくまでも「未決定事項」です。今後の状況変化によっては、決定が先送りされることもありますので注意が必要です。

差別化には「未決定事項」の先読みを

 経営判断を「決定事項」にステータスが変わってから行えば良いかというと必ずしもそうとは言えません。時には、未決定の段階で意志決定しなければ、他との差別化が図れないケースもあります。いかに他社より先駆けて、「未決定事項」のステータスがどう変わるかを先読みし、経営判断することで差別化が図られるのではないかと思います。

 そのためにも、情報の受け手側の情報収集力と、情報判断力等のリテラシーが求められます。

今回の記事は以上です。次回記事は、主な一次情報・二次情報の収集方法、収集に役立つツール等をご紹介します。

(株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 津留隆幸)

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