早いもので2019年になって1ヵ月が過ぎようとしていますが、SDGsに関する記事・広告が、筆者が確認しただけでも日本経済新聞に5回以上掲載されました。SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、「経済成長」「社会的包摂」「環境保護」をポイントに「国連持続可能な開発なサミット」で採択された2030年に向けた17の大きな目標とその達成のための具体的な169のターゲットで構成された行動計画です。日本でも政府・地方自治体の行政、経団連がその推進をしています。
筆者は先日、スウェーデンのSDGsの取り組みを紹介するワークショップに参加をしてきました。SDGsの進捗状況について、NGO団体であるSDSNとベルテルスマン財団が「SDG INDEX and DASHBOARDS REPORT」を年1回発表しており、スウェーデンはこのレポートで2016年から3年連続世界1位という結果なのです。中身を見ると、「ゴミリサイクル率 = 99%(2016年)」「CO2削減 = 26%(1990年から2016年)」といった環境面での成果を獲得しつつ「GDP成長 = 70% (1990年から2016年)」という経済的成果を両立させています。
この成功のポイントとして「(1)コンセンサスがある」「(2)ルールがある」「(3)測ることが大切」の3つが紹介されていました。「コンセンサス」や「測ること」としては早い段階からSDGsの理念についてのビジョン(そのうちの一つが図のSDGsケーキ)やその指標が明示されています。ルールとしては「①自然に還すことができる以上にとらない」「②地下資源より地上の資源を使う」「③生物多様性を守る」の3つを明確にし、これらのことをまとめた冊子が全世帯に配られ、初等教育のカリキュラムに導入し国民への浸透を図っているそうです。
興味深かったのが、このルールの位置づけです。ついルールと聞くと「禁止事項」的な内容で活動の促進を制限するようなイメージで捉えられがちですが、この場合は違い、「価値観」「判断基準」の位置づけでした。これらを決めることによりスウェーデンでのSDGsの取り組みがより進んだそうです。よく見受けられる「どっちもどっち」的な議論(『エコバッグを作ることはレジ袋を作るより何百倍もエネルギーを使うのでエコではない』といった議論があった)」に終止符を打たせ、その活動の促進につなげ、創意工夫を生み出す契機になったようです。(例)第2ルール 地上資源=日・月・年単位で循環、地下資源=数万年~億年単位で循環 なので、地上資源であるかどうかが判断基準)
これらの話を聞いていて、ルールの活かし方も2種類あるのだと感じました。禁止事項を示すものとしての役割もありますが、それ以上に主体性のある行動を促進するための判断基準として活用することで課題推進の促進や組織の活性化をさせる活かし方です。
皆様の会社・組織のルールにそのような視点があるでしょうか?ぜひ、検討してみてください。
2019.01 株式会社ネグジット総研経営コンサルタント 久保 隆