重複投薬アラートをアウトカム創出の契機に!
(薬局経営コンサルティングブログ)

重複投薬アラートへの対応患者のアウトカムに直結

令和8年度調剤報酬改定の議論が大詰めを迎える中、昨年12月19日付で「電子処方箋管理サービスにおける重複投薬等チェックを踏まえた対応について」との通知が発出されました。この通知は、電子処方箋管理サービスにおいて、重複投薬等チェックによるアラートが多数確認されている事例が示されたことを踏まえ、これらのアラートに対する適正な対応を、保険薬局に求めるものとなっています。 
 

では、実際にどの程度の重複投薬アラートが発生しているのでしょうか。厚生労働省の公表資料によると、令和7年11月実績では、重複投薬アラートは約998万件確認されています。同月の状況をみると、処方箋の発行枚数は約8,344万回、調剤結果の登録数は約6,102万件、重複投薬等チェックの結果、前述の重複投薬アラートが約998万件に加え、併用禁忌アラートが約1万4,000件確認されました。  
 

重複投薬アラートには、医療機関側と薬局側の双方で検出されたものが含まれていると考えられます。仮にその半数が薬局に関係するものであったとしても、約6,102万件の調剤結果登録に対して、非常に高い割合でアラートが発生していることが分かります。

この現状を踏まえ、通知では次のような対応を求めています。

 

●重複投薬等アラートの基本的な扱い
・電子処方箋管理サービスで重複投薬・併用禁忌アラートが確認された場合は、件数にかかわらず「正常に機能した結果」として扱い、
 その結果を踏まえて適切に調剤を行う。
・オンライン資格確認時には、過去の薬剤情報等の閲覧について患者の同意取得に努める。
 同意が得られなかった場合でも、重複投薬等アラートが出た際は、口頭等による同意取得に努める。
・疑わしい点があると判断した場合は、疑義照会を行い、必要に応じて処方内容の変更を求める。

●疑義照会後の対応区分
①過去薬剤情報の閲覧同意がある場合
 疑義照会後も処方変更がなく、薬学的に「全く疑わしい」と客観的に判断できる場合は、  調剤拒否の正当な理由として認められる。
②過去薬剤情報の閲覧同意が得られない場合
 疑義照会後も処方変更がない場合、患者に使用状況等を確認し、情報提供・服薬指導を実施した結果、適正使用が確保できないと判断
 したときは、薬局開設者が販売・授与を行わないことが認められる。
③医師・歯科医師と連絡が取れない場合
 疑しい点を確かめた後でない限り調剤不可。調剤拒否は正当な理由として認められる。
 ただし、近隣患者の場合は処方箋を預かり、後日疑義照会後に調剤する。

 

現場の実情をみると、システム上の複雑さや確認に時間を要すること、あるいは患者が薬剤不足を避けるため早めに受診した場合などでもアラートが表示されることなどから、十分な対応が難しいケースも少なくないようです。しかしながら、重複投薬アラートは、患者の安全確保や治療効果の最大化といったアウトカムに直結する重要な場面です。患者理解を深めてこの取り組みを進めることは、保険薬局の価値を高める好機でもあります。

今後は、現場の声を踏まえつつシステム改善を積極的に提言していくことも重要ですが、何よりも「患者のアウトカム創出」という視点を軸に据えることが求められます。地域の健康寿命延伸を目指す薬局にとって、重複投薬アラートへの対応は、避けて通れない、そして正面から取り組むべき重要な課題であるといえるでしょう。



2026.1 株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 久保 隆

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