【2022年12月版】クローズアップ調剤行政

はじめに

皆様、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、2023年第一弾の記事として、2022年12月の調剤に関する行政動向をお届けする「クローズアップ調剤行政」をお届けします。

クローズアップ調剤行政について

本記事シリーズでは、

  • 厚生労働省・内閣府・財務省より発表される会議資料
  • 通知、事務連絡等の発表資料

を中心に調剤に関連する内容をピックアップ・解説します。

毎月継続的にご覧いただければ、調剤に関する行政動向をおおよそ把握できるようなコンテンツを目指します。ぜひ継続してご覧いただければ幸いです。

尚、各種記事に関するご質問等、個別のご相談は薬局経営者研究会の会員企業様に限り無料で承っております。興味がある方はぜひご入会を検討ください。


2022年12月実施の会議・通知情報

2022年12月に実施された主な会議・通知情報は次の通りです。

厚生労働省

内閣府

財務省


2022年12月 行政動向 ピックアップ解説

2022年12月は、前月に引き続き予算に関連する内容が会議で多数議論されている印象があります。

その中でも、今回取り上げたい内容は次の2点です。

  • 令和5年度予算案 社会保障 36兆8889億円で閣議決定
  • オン資普及、医薬品安定供給対応 臨時診療報酬改定でプラスへ

令和5年度予算案 社会保障関連 36兆8889億円で閣議決定

12月23日に令和5年度の予算案が閣議決定されました。閣議決定された予算案の内、社会保障関連予算をご紹介します。

2022年12月23日 令和5年度予算政府案

社会保障関連予算の全体像

令和5年度の予算案について、ニュースでは防衛費増額に伴う増税方針の話題で目にした方も多いかと思います。

社会保障関連予算はどうなったかというと、前年度より6,200億円程度増額した36兆8889億円で決着し、過去最大の予算額になりました。

過去最大の予算額とはいえ、今回の予算案では高齢化による増加分の6,300億円に収める方針は達成したようです。増減内訳は、自然増7,800億円増が見込まれるところを、「薬価改定」で▲700億円程度、「後期高齢者医療の患者負担割合見直し」で▲400億円程度等といった制度改革・効率化で計▲1,500億円程度により、最終的には6,300億円の増加幅に収まっています。

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出典:「令和5年度社会保障関係予算のポイント」(財務省)(https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/seifuan2023/13.pdf)

令和5年度 薬価中間年改定の内容は?

前述の通り、予算案の中で削減インパクトの大きいのは「薬価改定」で▲700億円削減されています。今回の薬価改定は、2年に1度の完全な薬価改定ではない中間年改定で、「改定の対象がどの品目までになるか?」が注目されていました。

最終的には、2年前の中間年改定と同じ基準の

『平均乖離率の「0.625倍」を越える品目』で決着しています。

2年前と同じ基準とは言え、平均乖離率が8.0%から7.0%と低下しているため、

結果として基準となる乖離率は5.0%から4.375%となり対象品目数は増加しています。

そのため、薬局にとって厳しい改定になったと言えるでしょう。

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出典:「令和5年度社会保障関係予算のポイント」(財務省)(https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/seifuan2023/13.pdf)

オン資普及、医薬品安定供給対応 臨時診療報酬改定でプラスへ

予算案には、新規で設定された予算もございます。2022年末になって急な話で驚いた方もいらっしゃるかと思いますが、令和5年に臨時で診療報酬改定が実施され、報酬改定に関する予算が新たに設定されています。

予算額は、次の様に「オンライン資格確認に関する加算の特例」で31億円、「医薬品の安定供給問題を踏まえた処方、調剤等の特例」で32億円の予算がついています。

出典:「令和5年度社会保障関係予算のポイント」(財務省)(https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/seifuan2023/13.pdf)

具体的な改定内容については、2023年12月23日の中央社会保険医療協議会・総会にて答申資料が出ています。

2022年12月23日 個別改定項目について 等|中央社会保険医療協議会 総会(第535回)

特に薬局に関わる改定内容をピックアップいたします。

主な答申内容は?

今回の臨時改定の項目は、「オンライン資格確認」「医薬品の安定供給問題」に関する内容で、次の3つの内容について答申がまとめられています。

  1. 医療 DX の基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付けに係る経過措置について
  2. 医療 DX の推進のためのオンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置
  3. 医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置

いずれにせよ、今回の改定は薬局経営においてプラスに働く内容です。

調剤に関連する点数項目は、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」と「地域支援体制加算」に変更が加えられています。

「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」は時限的に+1点、

オンライン資格確認に関する評価は、2022年10月に「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」へ変更されたところではありますが、更に推進する目的で時限的に特例措置を設けることになりました。

調剤に関しては、

マイナンバーを利用しない場合の加算点数を、

3点(6月に1回)⇒ 4点(6月に1回)

へ変更する措置が決定されています。

※マイナンバーを利用する場合の加算点数は、変更はなく2点で据え置きです。

本加算の点数増は前述の通り時限的なもので、2023年4月1日~12月31日の期間に限るものとされています。

また、多くの薬局において影響は少ないと思われますが、本加算要件の特例が設定されています。

元々の要件にある「オンライン請求」が未実施の薬局であっても、2023年12月31日までに開始する旨の届出があれば要件を満たすという経過措置が設定されています。

(画像をクリックすると新しいタブで拡大表示されます。)

出典:「「個別改定項目について」 の補足説明資料」(中央社会保険医療協議会 総会(第535回))(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001029308.pdf)
出典:「「個別改定項目について」 の補足説明資料」(中央社会保険医療協議会 総会(第535回))(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001029308.pdf)

「地域支援体制加算」は、「後発医薬品調剤体制加算」次第で +1点 or +3点

昨今の医薬品供給が不安定であることを背景に、時限的な特例措置として「地域支援体制加算」が変更されました。

追加の施設基準を満たしていれば「後発医薬品調剤体制加算」の算定状況に応じた点数が追加される内容が加えられています。

追加点数詳細

  • 後発医薬品調剤体制加算 1or2 の場合 ⇒ +1点

・地域支援体制加算1 39⇒40点 ・地域支援体制加算3 17⇒18点
・地域支援体制加算2 47⇒48点 ・地域支援体制加算4 39⇒40点

  • 後発医薬品調剤体制加算    の場合 ⇒ +3点

・地域支援体制加算1 39⇒42点 ・地域支援体制加算3 17⇒20点
・地域支援体制加算2 47⇒49点 ・地域支援体制加算4 39⇒42点

追加施設基準

イ.地域支援体制加算に係る届出を行っている保険薬局であること。

ロ.後発医薬品調剤体制加算に係る届出を行っている保険薬局であること。

ハ.当該薬局の存する地域の保険医療機関又は保険薬局(同一グループの保険薬局を除く。)に対して在庫状況の共有、医薬品の融通などを行っていること。

ニ.ハの取組に関する事項について、当該保険薬局の見やすい場所に掲示していること。

出典:「「個別改定項目について」 の補足説明資料」(中央社会保険医療協議会 総会(第535回))(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001029308.pdf)

おわりに

2022年年末に突如入ってきた改定情報でしたが、皆様はしっかり把握されていましたか?後発医薬品調剤体制加算2と3の間際にある薬局は、2023年4月には何としてでも加算3を算定できるよう、改めて薬局内に周知されることをお勧めいたします。

今回の記事は以上です。次回は1月の行政動向解説記事を予定しています。ぜひご覧ください。

(作成:株式会社ネグジット総研 経営コンサルタント 津留隆幸)

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