抽象的概念化が能力の成長の源!~ダイナミック・スキル理論から学ぶ~

遅まきながら、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。残念ながら、11都府県に緊急事態宣言が再発出され、予断の許さない状態が続いていますが、皆様も健康にご自愛くださいませ。

今回は、年初めに今年の目標や学びたいことなどを掲げられた方も少なくないのではないかと思い、「能力の成長」についての考え方を紹介します。
Q:以下の中でどれが「患者・顧客のアウトカム」だと思いますか?と訊かれるとどうお答えになりますか?

①    服薬期間中のフォローアップ

②    服薬情報書の提出

③    カレンダーに薬剤をセット

少し引っ掛けですが、これらの3つとも「患者・顧客のアウトカム」ではありません。これらは、アウトカムを生み出すためのプロセス(作業)やアウトプットだったりします。実は、薬局の現場でこの問いをしてみると、正答できるスタッフが多い薬局の店舗でも、「患者さんのアウトカムと思うことを具体的に上げてみてください」と質問の仕方を変えると、少なくない人たちから上記の項目が解答に上がってくるのです。

こうした現象が起こる背景には、「言葉の理解が自分化できていない」、言い方を変えると「抽象的概念として理解できていない」ことがあります。


ハーバード大学教育大学院教授のカート・フィッシャーが提唱した「ダイナミック・スキル理論」という成人発達理論では、能力の成長レベルは対象なる課題について

単一表層レベル⇒表層配置レベル⇒表層システムレベル⇒単一抽象レベル⇒抽象配置レベル⇒抽象システムレベル⇒単一原理レベル

と上がっていくとしています。上記のような現象が生じる理由には「アウトカム」という言葉の中身を表層的(記号的)には理解できていても、それがどのような構造を持っているのかを概念的には理解できておらず、成長レベルが「単一表層レベル」か「表層配置レベル」に留まり、応用が利かないレベルである可能性が高いのです。


皆さんの周囲にも同じようなことはないでしょうか?ある課題・業務において理解できていると思った人材が、対象や場面が変わるとおかしな対応をするようなケースです。その背景にはその課題の内容についての「抽象的概念化」、「自分の言葉化」ができていない可能性があります。

概念化能力を高めるには①自分の言葉での表現②要約力の強化③抽象化と具現化の置換、といったことを習慣化することが重要です。ぜひ、皆さんが自己の能力の成長を試みられる場合や教育・研修体系などの見直しを考えられる際に参照してみてください。

2021.01 株式会社ネグジット総研経営コンサルタント 久保 隆

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